陀多(カンダタ)はこれを見ると、思わず手を拍(う)って喜びました。
この糸に縋(すが)りついて、どこまでものぼって行けば、きっと地獄からぬけ出せるのに相違ございません。
いや、うまく行くと、極楽へはいる事さえも出来ましょう。
そうすれば、もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に沈められる事もある筈はございません。
こう思いましたから陀多は、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、一生懸命に上へ上へとたぐりのぼり始めました。
元より大泥坊の事でございますから、こう云う事には昔から、慣れ切っているのでございます。
・・・さて、お話はこの後どうなるのでしょう?
語り:花本弘子 音楽&効果音:ひぐま イラスト:Mackey
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