ひぐまです。
誕生日を迎え、歳(よわい)55となりました。
今までプロデューサーとして、このHPでもあえて目立ちにくい立ち位置を心がけていましたが、
今後は積極的にいろいろな情報や思いを発信していきたいと思います。
はじめに、
私は現場の中学校の英語教員ですが、主な関心は認知文法論や授業方法論で、特に認知心理学に基づく語順(意味順)指導や協同学習などについての研究と実践を行っています。また学力向上担当として、各分掌のコーディネートも行っています。学力向上と生徒の個人や集団としての自律性の関連など、教育心理学や教育原理的なことについても実践しています。
一方、多くの講義依頼にも応えています。最近は英語に関わらず、学校組織としての学習評価やテスティング理論に関するものが多くなってきました。これは大阪府の高校入試制度が、平成28年度より相対評価による評定から、いわゆる絶対評価に変更になることが大きな理由です。府教委は平成25年8月よりこれを広く学校現場に下ろし、研修等も実施してきたようですが、現場教員の理論学習や実践研究や検証なども追いつかないのが現状です。さらに最近では評価の公平性を理由に、全国学力テストや大阪市独自の統一テストなどの利用が突然発表されるなど、教育行政側のねらいと教育現場の実態とが乖離している状態があります。
私が勤める中学校では、文部科学省の主旨に則った、本来の「目標に準拠した評価」をこの7年間組織的に行ってきました。目標準拠の理念を大切にし、評価方法も妥当性と信頼性を高めながらの研究と改善を行ってきました。決して高校入試のためではなく、教師自身の授業改善や一人ひとりの子どもをきちんと見取り、励ましながら育てるという本来のねらいを大切にしてきました。それらをActive Learningとしての協同学習の中でどのように具現化して行くのかなども研究しているところです。
大阪府が評価と入試方法の変更を発表した2年前、目標準拠評価について理論を踏まえた実践を一定期間行って来た中学校が大阪ではほとんどなかったようです。2年間の準備期間に実際になにをどのようにしたらよいかという各中学校の動揺や悩みは切実なものでした。そんな時に依頼を多く受けて、各中学校に寄り添う形で学校訪問を行い、講義やワークショプを行ってきました。思い返せば、45歳で大学院へ内地留学し、授業の一つとして学んだ学習評価論やテスティング理論を、中学校現場に戻ってこつこつと長期間実践して来た事が、今広く、他の中学校の役に立っているということに大きな意義や運命を感じます。
一般的には学術的に高きをめざして行われた研究も、現場での実践や実証は難しいとされています。つまり研究者と実践者が異なることが大きな理由です。自分は研究者であり実践者なので、理論と実践の橋渡し役として、即実行でき、その結果、成果が現場で役に立つ役割を担えているのは大きな喜びです。
実際に私が関わったある市では、管理職研修会を複数回行い、加えて市内全中学校へ複数回訪問させて頂き、市教育委員会や校長会のリードで市統一の評価方法を採用することができました。その市では、先生方が転勤しても、生徒が転校してもどの学校でも同じ評価方法であるというユニバーサルデザインが実現し、そのメリットは大きなものとなることでしょう。評価や入試制度では、「改革」も大切ながら、まずは信頼のおける「安定性」が必要です。
私の関心事は、英語教育はもとより、学習評価や協同学習などの授業方法でも、誰でもが行える「安定したユニバーサルデザインの実践」を支える研究です。一人のすごい先生が、その先生しか出来ないすごい方法で行う授業を目指すのではありません。そのためにも研究が単なる理論研究で終わらずに、具体に現場の先生が安定して使えるものに応用させて行く必要があります。「理論が実践を支え、実践が理論を後押しする」ような良い循環を産み出したいものです。
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