2010年03月11日
貝塚市立第二中学校で10日、「3年生を送る会」があり、インターネットの動画サイトに投稿されて話題になった卒業ソング「桜ノ雨」をかいた音楽グループ「absorb(アブソーブ)」がゲスト出演した。ネットでこの歌を知って「自分たちの思いを代弁してくれる」と感じた生徒たちの思いが、教師のバンド演奏と全校生徒の合唱を交えた合同ライブに結実した。
土埃(ぼこり)上げ競った校庭
窮屈で着くずした制服
机の上に書いた落書き
どれもこれも僕らの証し
正午すぎ、体育館に「桜ノ雨」のメロディーが響いた。演奏したのはabsorbの3人。壇上には作業服姿の教師7人も上がった。「仲間づくり」をモットーにする同校の教師が、まずは自分たちの仲の良さを見せようと2008年10月に結成したバンドのメンバーだ。フロアでは全校生徒約530人が声を合わせた。
「桜ノ雨」はabsorbのリーダー森晴義さん(28)=岐阜県出身=が「地元の同級生に相談して昔を思い出しながら作った」という卒業ソング。卒業前の切ない気持ちを美しい旋律に乗せた。歌詞とメロディーを入力すると人のような声を発する音声合成ソフトの仮想アイドル「初音(はつね)ミク」に歌わせる形で、2008年2月にインターネットの動画サイトに投稿。じわりと話題が広がり、同年秋のメジャーデビューにつながった。09年春には全国の119校の卒業式で歌われ、今年も70校以上で「歌いたい」との申し出があったという。
貝塚二中でも昨年秋、ネットでこの歌を知った東(あずま)里美さん(3年)が卒業式に使いたいと提案。教師らも「生徒が中学生活を振り返り、周りへの感謝を考えるきっかけになる」と後押しした。生徒たちが送ったメールを読んで、absorbも来校を決めた。
森さんは生徒たちに「みんな一人ひとりが桜の花びらなんだよという思いを込めて作った曲。その思いを直接届けられてうれしい。いつかみんながでっかい花を咲かせて、今日の思い出話をしてほしい」と語った。実行委員の1人、岡根安里さん(3年)は「友達とケンカしたり、励まし合ったりして過ごしてきた3年間を思い出した。歌が私たちを代弁してくれたようで感動した」と話していた。